介護保険の自己負担を軽減する3つの制度
介護保険サービスの自己負担は原則1割(所得により2〜3割)ですが、さらに負担を減らせる制度が3つあります。
- 高額介護サービス費 — 月の自己負担が上限額を超えた分を払い戻し
- 補足給付(特定入所者介護サービス費) — 施設入所時の食費・居住費を軽減
- 高額医療・高額介護合算療養費 — 医療費と介護費の両方が高い場合の世帯合算
これらは申請しないと受け取れないものがほとんどです。知っているかどうかで年間数十万円の差が生じることもあります。
1. 高額介護サービス費
月に支払った介護保険の自己負担額が上限額を超えた場合、超えた分が払い戻しされます。
上限額(月額・2024年度)
| 区分 | 月額上限 | 対象者の目安 | |------|---------|------------| | 生活保護受給者 | 15,000円(個人) | 生活保護受給中 | | 住民税非課税世帯(低所得Ⅰ) | 15,000円(個人) | 老齢福祉年金受給者等 | | 住民税非課税世帯(低所得Ⅱ) | 24,600円(世帯) | 住民税非課税世帯 | | 住民税課税世帯(一般) | 44,400円(世帯) | 年収約 520万円未満 | | 現役並み所得者(Ⅱ) | 93,000円(世帯) | 年収約 770万円未満 | | 現役並み所得者(Ⅲ) | 140,100円(世帯) | 年収約 1,160万円以上 |
※「世帯」は同一世帯の介護保険利用者全員の合計額に対して適用
申請方法
- 市区町村の介護保険担当窓口に「高額介護サービス費支給申請書」を提出
- 初回申請後は 翌月以降は自動支給される(毎月申請不要)
- 対象月の翌々月頃に指定口座に振り込まれる
注意: 施設入所の食費・居住費(補足給付の対象部分)や福祉用具購入費・住宅改修費は対象外
2. 補足給付(特定入所者介護サービス費)
特別養護老人ホーム・老健・介護療養型医療施設などの入所・短期入所サービスを利用した際の食費・居住費(室料)を軽減する制度です。
対象となる施設
- 特別養護老人ホーム(特養)
- 介護老人保健施設(老健)
- 介護医療院
- 短期入所(ショートステイ)
※有料老人ホーム・グループホームは対象外
利用要件
以下のすべてを満たす方が対象です:
- 住民税非課税世帯
- 配偶者が住民税非課税(別世帯でも同様)
- 預貯金等が一定額以下(単身 1,000万円以下、夫婦 2,000万円以下)
申請方法
- 市区町村窓口で「介護保険負担限度額認定申請書」を提出
- 必要書類: 通帳のコピー(直近2ヶ月分)、配偶者の通帳コピー等
- 認定されると負担限度額認定証が交付される(1年ごとに更新)
- 施設に認定証を提示することで、軽減後の金額を支払う
軽減される金額の目安
一般的な特養の場合、補足給付なしの食費・居住費は月6〜8万円。低所得Ⅱ区分では月2〜3万円程度に軽減されます。
3. 高額医療・高額介護合算療養費
同一世帯で医療費と介護費の両方が高額な場合、年間の合算額が限度額を超えた分が払い戻されます。
合算限度額(年額・2024年度)
| 区分 | 70歳未満 | 70歳以上 | |------|---------|---------| | 住民税非課税(低所得Ⅰ) | 19万円 | 19万円 | | 住民税非課税(低所得Ⅱ) | 31万円 | 31万円 | | 一般 | 60万円 | 56万円 | | 現役並みⅠ | 67万円 | 67万円 | | 現役並みⅡ | 141万円 | 141万円 | | 現役並みⅢ | 212万円 | 212万円 |
申請方法
毎年7月下旬頃、市区町村から「支給申請書兼自己負担額証明書交付申請書」が送付されます。これに記入・提出し、医療保険の自己負担証明書と合わせて申請します。
こんな方は特に確認を
- 在宅で複数の介護サービスを利用している方
- 施設に入所して食費・居住費を払っている方
- 医療費と介護費が両方かかっている方
- 住民税非課税世帯(本人または世帯全員)
Q1: 高額介護サービス費はいつ申請すれば過去分も対象になりますか?
A1: 申請は遡って2年間まで可能です。例えば、2年前から上限を超えていた場合でも、今から申請して過去2年分の払い戻しを受けられます。ただし、申請しないと払い戻されませんので、早めの申請をおすすめします。初回申請は窓口で行い、以降は自動支給になります。
Q2: 補足給付の申請に必要な通帳コピーは何の口座ですか?
A2: 本人および配偶者が保有するすべての金融機関の通帳が対象です。銀行・郵便局の普通・定期預金、投資信託・株式等の有価証券も対象です。「直近2ヶ月の残高が確認できるページ」のコピーが必要です。通帳がない(ネットバンクのみ)場合は残高証明書で代替できます。
Q3: 住民税課税世帯ですが、高額介護サービス費の申請は意味がありますか?
A3: はい、意味があります。住民税課税世帯の上限は月44,400円ですが、複数の介護サービスを利用している場合や、施設入所とショートステイを組み合わせている場合は、合計額がこの上限を超えることがあります。特に要介護4〜5で在宅サービスをフル利用している場合や施設入所されている方は、月の請求書を見て44,400円を超えていないか確認してみてください。