公正証書遺言の作成費用はいくら?必要書類と手続きの流れ【2024年版】
目次
- 公正証書遺言とは?自筆証書遺言との違い
- 公正証書遺言の作成費用詳細
- 必要書類チェックリスト
- 公正証書遺言作成の流れ(7ステップ)
- 公証役場での手続き詳細
- 費用を抑える5つの方法
- 公正証書遺言のメリット・デメリット
- よくある質問(FAQ)
- まとめ|失敗しない公正証書遺言の作り方
「遺言書を作りたいけど、公正証書遺言の費用が心配」「どんな書類が必要なの?」そんな不安をお持ちの方へ。公正証書遺言は費用がかかりますが、その分確実で安心な遺言書です。この記事では、具体的な費用から手続きまで、初めての方にもわかりやすく解説します。
公正証書遺言とは?自筆証書遺言との違い
公正証書遺言の定義
公正証書遺言とは、公証人が遺言者の意思を聞き取り、法律的に有効な形で作成する遺言書です。公証役場で作成され、原本は公証役場で保管されます。
3種類の遺言書比較
| 項目 | 公正証書遺言 | 自筆証書遺言 | 秘密証書遺言 | |------|------------|------------|------------| | 作成場所 | 公証役場 | 自宅等 | 自宅等→公証役場 | | 作成方法 | 公証人が作成 | 全文自筆 | 本人作成→公証人確認 | | 証人 | 2名必要 | 不要 | 2名必要 | | 費用 | 数万円〜 | 0円〜3,900円 | 11,000円 | | 保管 | 公証役場 | 自宅/法務局 | 自宅 | | 検認 | 不要 | 必要※ | 必要 | | 紛失リスク | なし | あり | あり | | 偽造リスク | なし | あり | 低い | | 無効リスク | 極めて低い | 高い | 中程度 |
※法務局保管制度利用時は検認不要
公正証書遺言が選ばれる理由
-
確実性が高い
- 公証人が法的要件を確認
- 形式不備による無効がない
- 内容の解釈で争いになりにくい
-
安全性が高い
- 原本は公証役場で保管
- 紛失・偽造・隠匿の心配なし
- 災害時も安心
-
手続きがスムーズ
- 家庭裁判所の検認不要
- すぐに相続手続き開始可能
- 金融機関の信頼性高い
-
身体的制約があっても作成可能
- 手が不自由でも口述で可能
- 公証人の出張サービスあり
- 手話・筆談での作成も可
公正証書遺言の作成費用詳細
公証人手数料(法定費用)
公証人手数料は、相続財産の価額に応じて法律で定められています。
基本手数料表
| 財産価額 | 手数料 | |---------|--------| | 100万円以下 | 5,000円 | | 100万円超〜200万円以下 | 7,000円 | | 200万円超〜500万円以下 | 11,000円 | | 500万円超〜1,000万円以下 | 17,000円 | | 1,000万円超〜3,000万円以下 | 23,000円 | | 3,000万円超〜5,000万円以下 | 29,000円 | | 5,000万円超〜1億円以下 | 43,000円 | | 1億円超〜3億円以下 | 43,000円に超過額5,000万円ごとに13,000円加算 | | 3億円超〜10億円以下 | 95,000円に超過額5,000万円ごとに11,000円加算 | | 10億円超 | 249,000円に超過額5,000万円ごとに8,000円加算 |
計算例
例1:財産総額3,000万円を妻に全て相続させる場合
- 基本手数料:23,000円
- 遺言加算:11,000円
- 合計:34,000円
例2:財産総額5,000万円を妻と子2人で分ける場合
- 妻(2,500万円):23,000円
- 長男(1,250万円):23,000円
- 長女(1,250万円):23,000円
- 遺言加算:11,000円
- 合計:80,000円
その他の費用
1. 遺言加算
- 一律11,000円
- 財産総額が1億円以下の場合に加算
2. 正本・謄本作成費
- 1枚250円
- 通常4〜10枚程度(1,000〜2,500円)
3. 証人費用
- 公証役場紹介:1人5,000〜10,000円
- 自分で手配:0円(ただし謝礼が必要な場合も)
4. 出張費
- 日当:20,000円(4時間以内は10,000円)
- 交通費:実費
- 手数料50%加算
5. その他オプション
- 祭祀承継者の指定:11,000円
- 遺言執行者の指定:11,000円
- 付言事項:内容により0〜11,000円
専門家費用(任意)
弁護士
- 相談料:5,000〜10,000円/時間
- 遺言書作成:10〜30万円
- 公証役場同行:3〜5万円
司法書士
- 相談料:3,000〜5,000円/時間
- 遺言書作成:5〜15万円
- 公証役場同行:2〜3万円
行政書士
- 相談料:3,000〜5,000円/時間
- 遺言書作成:3〜10万円
- 公証役場同行:1〜2万円
トータル費用の目安
| ケース | 財産額 | 公証人手数料 | その他費用 | 専門家費用 | 合計 | |--------|--------|------------|-----------|-----------|------| | シンプル | 3,000万円 | 34,000円 | 15,000円 | 0円 | 約5万円 | | 標準 | 5,000万円 | 80,000円 | 20,000円 | 10万円 | 約20万円 | | 複雑 | 1億円 | 150,000円 | 30,000円 | 30万円 | 約48万円 |
必要書類チェックリスト
遺言者(本人)の必要書類
必須書類
- [ ] 印鑑登録証明書(3ヶ月以内)
- [ ] 実印
- [ ] 戸籍謄本(3ヶ月以内)
- [ ] 住民票(3ヶ月以内)
本人確認書類(いずれか1つ)
- [ ] 運転免許証
- [ ] パスポート
- [ ] マイナンバーカード
- [ ] 住基カード(写真付き)
相続人・受遺者関係の書類
相続人が配偶者・子の場合
- [ ] 相続人の戸籍謄本
- [ ] 相続人の住民票
相続人が兄弟姉妹の場合
- [ ] 両親の出生から死亡までの戸籍
- [ ] 兄弟姉妹の戸籍謄本
相続人以外に遺贈する場合
- [ ] 受遺者の住民票
- [ ] 法人の場合:登記事項証明書
財産関係の書類
不動産
- [ ] 登記事項証明書(登記簿謄本)
- [ ] 固定資産評価証明書または納税通知書
- [ ] 公図(必要に応じて)
預貯金
- [ ] 通帳のコピーまたは残高証明書
- [ ] 金融機関名・支店名・口座番号のメモ
有価証券
- [ ] 証券会社の取引残高報告書
- [ ] 銘柄・数量が分かる書類
その他の財産
- [ ] 生命保険証券のコピー
- [ ] 自動車検査証のコピー
- [ ] 貴金属等の評価書
証人の必要書類
- [ ] 本人確認書類(運転免許証等)
- [ ] 認印
- [ ] 住所・氏名・生年月日・職業のメモ
書類取得先一覧
| 書類名 | 取得先 | 手数料 | 備考 | |--------|--------|--------|------| | 戸籍謄本 | 本籍地の市区町村役場 | 450円 | 郵送可 | | 住民票 | 住所地の市区町村役場 | 300円 | コンビニ可※ | | 印鑑登録証明書 | 住所地の市区町村役場 | 300円 | コンビニ可※ | | 登記事項証明書 | 法務局 | 600円 | オンライン可 | | 固定資産評価証明書 | 市区町村役場 | 300円 | 郵送可 |
※マイナンバーカード必要
公正証書遺言作成の流れ(7ステップ)
ステップ1:遺言内容の検討(1〜2週間)
検討事項
-
誰に何を相続させるか
- 法定相続人の確認
- 相続割合の決定
- 特定財産の承継者
-
遺言執行者の指定
- 信頼できる人を選ぶ
- 専門家への依頼も検討
-
付言事項
- 家族へのメッセージ
- 遺言の理由説明
検討シート例
【財産リスト】
1. 自宅(評価額3,000万円)→ 妻
2. 預貯金(2,000万円)→ 妻1,000万円、長男500万円、長女500万円
3. 株式(500万円)→ 長男250万円、長女250万円
【遺言執行者】
司法書士○○(理由:相続手続きに詳しいため)
【付言事項】
妻には今まで苦労をかけたので自宅を。
子供たちは仲良く協力して生きてほしい。
ステップ2:必要書類の収集(1〜2週間)
効率的な収集方法:
- 市区町村役場でまとめて取得
- 法務局はオンライン申請
- 金融機関は電話で必要書類確認
ステップ3:公証役場への事前相談(1日)
相談内容
- 遺言内容の法的確認
- 必要書類の確認
- 費用の見積もり
- 作成日の予約
持参するもの
- 財産リストのメモ
- 相続関係図
- 収集済みの書類
ステップ4:遺言案の作成(1週間)
公証人が遺言案を作成し、FAXまたはメールで送付。 内容を確認し、修正があれば連絡。
ステップ5:証人の手配(数日)
証人になれない人
- 未成年者
- 推定相続人・受遺者
- 推定相続人・受遺者の配偶者および直系血族
- 公証人の配偶者、4親等内の親族
- 公証役場の関係者
証人の選び方
- 信頼できる友人
- 専門家(司法書士等)
- 公証役場の紹介
ステップ6:公証役場での作成(1〜2時間)
当日の流れ
- 本人確認(10分)
- 遺言内容の読み聞かせ(20分)
- 内容確認・質疑応答(10分)
- 署名・押印(10分)
- 正本・謄本の交付(10分)
ステップ7:遺言書の保管
保管書類
- 正本:遺言者が保管
- 謄本:遺言執行者や家族が保管
- 原本:公証役場で保管(120年間)
公証役場での手続き詳細
全国の公証役場
2026年現在、全国に約300ヶ所の公証役場があります。
主要都市の公証役場数
- 東京都:45ヶ所
- 大阪府:25ヶ所
- 愛知県:18ヶ所
- 神奈川県:15ヶ所
- 福岡県:12ヶ所
公証役場の選び方
-
アクセス重視
- 自宅や職場から近い
- 駐車場の有無
- バリアフリー対応
-
サービス重視
- 土曜営業の有無
- 出張対応の可否
- 予約の取りやすさ
-
評判重視
- 公証人の経験年数
- 対応の丁寧さ
- 口コミ情報
出張サービスの利用
利用できる場合
- 病気・けがで外出困難
- 高齢で移動が困難
- 介護施設入所中
- 入院中
出張費用
- 日当:20,000円(4時間以内10,000円)
- 交通費:実費
- 手数料:1.5倍
出張時の注意点
- 個室の確保が必要
- 証人も現地集合
- 本人確認書類必須
公証人との面談のコツ
事前準備
-
質問リストの作成
- 不明な点をメモ
- 優先順位をつける
-
資料の整理
- 書類を順番に並べる
- 付箋で目印
-
同行者の検討
- 家族の同席可
- 専門家の同行も有効
面談時の心得
- 遺言の動機を明確に
- 財産内容は正確に
- 不安な点は遠慮なく質問
- メモを取る
費用を抑える5つの方法
1. 財産の評価額を正確に把握
不動産の評価
- 固定資産評価額を使用(時価の約70%)
- 路線価での評価も可
- 過大評価を避ける
預貯金の評価
- 作成時点の残高
- 定期預金の解約は不要
- 概算でも可
2. 相続人ごとにまとめて記載
費用が高くなる書き方:
・A銀行○○支店の預金500万円を長男に
・B銀行△△支店の預金500万円を長男に
・C証券の株式300万円を長男に
費用を抑える書き方:
・預貯金1,000万円および株式300万円(合計1,300万円相当)を長男に
3. 証人を自分で手配
- 友人・知人に依頼:0円
- 司法書士等に依頼:1〜2万円
- 公証役場紹介:1〜2万円
信頼できる友人2名に依頼すれば、2万円程度節約可能。
4. 専門家への依頼を最小限に
セルフでできること
- 書類収集
- 財産リスト作成
- 相続関係図作成
専門家に任せるべきこと
- 複雑な相続対策
- 税務アドバイス
- トラブル対応
5. 自筆証書遺言との使い分け
公正証書遺言が必要な場合
- 財産が多い(5,000万円以上)
- 相続人関係が複雑
- トラブルが予想される
- 確実性を重視
自筆証書遺言でも可能な場合
- 財産が少ない
- 相続人が配偶者と子のみ
- 家族関係が良好
- 費用を抑えたい
公正証書遺言のメリット・デメリット
メリット
1. 法的安定性
-
無効になるリスクが極めて低い
- 公証人が法的要件を確認
- 形式不備がない
-
内容が明確
- 専門用語で正確に記載
- 解釈の余地が少ない
2. 証拠力の高さ
-
本人の意思確認
- 公証人が直接確認
- 証人2名の立会い
-
作成時の判断能力
- 公証人が確認
- 後日の争いを防ぐ
3. 保管の安全性
-
紛失・滅失の心配なし
- 原本は公証役場
- 災害時も安心
-
改ざん・隠匿防止
- 原本には手を加えられない
- 相続人の不正防止
4. 手続きの簡便性
-
検認手続き不要
- すぐに執行可能
- 時間と費用の節約
-
金融機関の信頼
- スムーズな解約・名義変更
- 追加書類要求が少ない
デメリット
1. 費用負担
- 公証人手数料
- 専門家費用
- 書類取得費用
2. 手続きの煩雑さ
- 書類収集に時間
- 公証役場への訪問
- 証人の手配
3. 内容の秘密性
- 証人に内容が知られる
- 公証人にも開示
4. 変更の手間
- 新たに作成し直し
- 再度費用がかかる
自筆証書遺言との使い分け
| 状況 | おすすめ | 理由 | |------|---------|------| | 財産5,000万円以上 | 公正証書 | トラブル防止 | | 相続人が多い | 公正証書 | 確実性重視 | | 家族関係複雑 | 公正証書 | 争い防止 | | 至急作成したい | 自筆証書 | すぐ作成可 | | 費用を抑えたい | 自筆証書 | 無料〜3,900円 | | 頻繁に変更予定 | 自筆証書 | 変更が簡単 |
よくある質問(FAQ)
Q1: 公正証書遺言は必ず公証役場に行かないと作れませんか?
A1: 病気や高齢で外出が困難な場合は、公証人が自宅や病院、施設に出張してくれます。ただし、出張費(日当2万円+交通費+手数料1.5倍)がかかります。事前に公証役場に相談し、必要書類や個室の準備をしておく必要があります。
Q2: 証人は誰でもなれますか?
A2: 以下の人は証人になれません:①未成年者、②推定相続人・受遺者とその配偶者・直系血族、③公証人の配偶者・4親等内の親族、④公証役場の関係者。一般的には、信頼できる友人、司法書士、弁護士などに依頼します。公証役場で紹介してもらうことも可能です(有料)。
Q3: 公正証書遺言の内容を後で変更できますか?
A3: 変更は可能ですが、新たに公正証書遺言を作成する必要があります。前の遺言と抵触する部分は新しい遺言が優先されます。軽微な変更でも全文作り直しとなり、同様の費用がかかります。ただし、緊急の場合は自筆証書遺言で変更することも可能です。
Q4: 相続人に内容を知られたくないのですが?
A4: 遺言者の生存中は、本人以外は内容を見ることができません。公証人や証人にも守秘義務があります。ただし、証人は内容を知ることになるため、家族以外の信頼できる人や専門家を選ぶことをお勧めします。
Q5: 公正証書遺言があれば相続でもめることはありませんか?
A5: 公正証書遺言があってももめる可能性はゼロではありません。ただし、形式的な不備で無効になることはほぼなく、内容も明確なため、自筆証書遺言に比べてトラブルは大幅に減ります。遺留分への配慮や、付言事項での想いの説明も重要です。
まとめ|失敗しない公正証書遺言の作り方
作成前のチェックポイント
1. 目的の明確化
- [ ] なぜ遺言を作るのか
- [ ] 誰のために作るのか
- [ ] 何を実現したいのか
2. 財産の把握
- [ ] 財産リストは完成したか
- [ ] 評価額は適正か
- [ ] 負債も含めて把握したか
3. 相続人の確認
- [ ] 法定相続人は誰か
- [ ] 遺留分の確認
- [ ] 特別な配慮が必要な人はいるか
成功のための3つのポイント
ポイント1:早めの準備
- 書類収集に時間がかかる
- 公証役場の予約も必要
- 余裕を持って2ヶ月前から
ポイント2:専門家の活用
- 初回相談は無料も多い
- 費用対効果を考える
- 複雑な案件は相談必須
ポイント3:家族とのコミュニケーション
- 遺言の存在を伝える
- 大まかな内容を共有
- 理解を得ておく
今すぐ始める第一歩
-
財産リストの作成
- 不動産、預貯金、有価証券
- 概算額でOK
- エクセルでまとめる
-
相続関係図の作成
- 家族構成を図示
- 法定相続人を確認
- 相続分を把握
-
公証役場への問い合わせ
- 最寄りの公証役場を検索
- 電話で概要相談
- 必要書類の確認
公正証書遺言は、費用はかかりますが、その分の価値は十分にあります。大切な家族のために、確実で安心な遺言書を残しましょう。
完璧を求めすぎず、まずは一歩踏み出すことが大切です。
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最終更新日:2026年2月